ゆるりんのポレポレ日記 yururinp.exblog.jp

つれづれなるままに~日頃出会うこと、思うことを綴っています。


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湖の琴

                       余呉湖近くの里山の風景
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今日は大河ドラマ「江」の日ですね♪
今後、江たちが大きくなって、再び小谷城を訪れる場面がありますので、乞うご期待!
ところで江ブームに引っ張られ、改めて滋賀の湖北を見直して、私の好きな場所を巡ってみた。
姉川の風景、小谷山付近の町並み、観音の里・高月の十一面観音、北の琵琶湖、そして余呉湖・・・・
ちょうど年末に雪が降ったので、この雪の景色を一番印象的に伝えてくれる場所に行ってみた。
余呉湖・・・
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琵琶湖とは、ちょっと違う美しさ。
寂しさと、神秘的な何かを漂わせている湖である。
この余呉湖は、四方を山で囲まれた小さな湖である。
ちょうど、江のドラマでも出てくる「賤ヶ岳の戦い」の賤ヶ岳を南に仰ぐことが出来る。
波一つない鏡のような水面を見ていると、本当に心が吸い込まれそうな気持ちに包まれ、現実と夢の境が分からなくなるような神秘的な情景である。
この余呉湖の鏡面から名がつけられたのか、この土地の中学校は、余呉中学とはいわず、「鏡丘中学校」という。
それだけ、余呉湖が見せる風景に土地の人々は、心寄せているのだろう。
その余呉湖にも「江」と同じように、物語があった。
もっと寂しい、暗い物語・・・。
でも余呉湖だからこそ、この物語は作られた・・そんな感じ。
水上勉の「湖の琴」を知っているだろうか?
私は、改めてこの「湖の琴」を読んでみた。
この物語は、昭和43年に初版。佐久間良子が主人公「さく」となって映画化もされた小説である。
この土地のリアルな情景が、文章上に表現されている。
ちょうど、大正から昭和にかけての寂しいお話。
この土地が、昔生糸の産地で(今ではそんな面影は見られないのだが)・・・社会背景も今とはぜんぜん違っている。
ちょうど、私の祖父母が小さかった頃の湖北~。
自由というものが表現できず、この土地の寂しさをそのまま受け入れて、しがらみの中で生活している。
貧富の差・・・そして田舎で育ったゆえのピュアな心が、大人へと成長する中で、変化する・・・しかしその純粋さゆえに選ばざるを得なかった生き方・・・・
小説を読み終え、なんとも複雑な気持ちいっぱいになってしまった。
・・・・・しかし、きれいでもあり・・・。
余呉湖の湖面の色の深さは、この物語を際立たせるたいへん貴重な題材である。
この余呉湖には、「羽衣伝説」が昔から語り継がれている。
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                   天女が羽衣をかけたという柳の木~
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この羽衣伝説・・・天女・・・そして高月の十一面観音・・・
西山という村の生糸と水の不思議・・・
この湖北にはなんともいえぬ、妖艶な何かが漂い、スピリチャリティーというのか・・・精神を揺さぶるものがあるように感じられる。
水上勉が書いたこの小説は、実はノンフィクションだそうだ。
本当に「さく」という人物がこの世にいて、この湖北の田舎で生糸をつむぎ、一生懸命働いていたそうで・・・・
方言といい、土地の名前といい、知っているだけにたいへんリアルな物語である。
大河ドラマ「江」によって湖北に興味を持たれたなら、一度この物語にも目を通してほしい。
「江」のように歴史上に残らぬとも、「さく」という人物がここにちゃんといて、いろんな感情を抱きながら生活していたことに、ちょっぴりでも触れてください。
悲しい、寂しい物語を持つ余呉湖に、今日もきっと寄り添うように、水鳥が鏡面を揺らして泳いでいるだろう。
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by polepole-yururin | 2011-01-16 11:51 | 歴史