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ゆるりんのポレポレ日記 yururinp.exblog.jp

つれづれなるままに~日頃出会うこと、思うことを綴っています。


by polepole-yururin

あれから16年

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今日の朝日新聞の記事
生活 「患者を生きる」 感染症 HIV [1]
急に体がしんどくなり、タバコの吸いすぎかもしれない・・・
でも体力は落ちる・・・咳が出始めた・・・
妻から受診をすすめられて東京駒込病院に受診する・・・
エイズだった。
妻には、「肺炎」と伝えているという。
このHIVの記事は、5回の連載だ。
この記事・・・16年前これと同じケースを研修した病院で、聞いた。
16年前、阪神淡路大震災があった。
その半年後、医療界では、エイズの患者さんが急激に増えていることで、エイズの患者さんへの看護も分からないので、エイズの患者さんへのアプローチを学ぶべく、(県の統一した看護マニュアルが必要となり)エイズ治療の最先端の医療をしているという病院への研修の話があがった。
ちょうど私が神戸・被災地に派遣された時に同県の健康対策課の医師と出会った。
その先生から話をいただいて、私ともうひとり同じ大学病院の副婦長と東京へエイズ研修に行くことになった。
あの当時、ちょうど南野陽子が主演の「私を抱いて、そしてキスして」というエイズの話の映画があった。
未知の病気だったあの頃。
入院患者さんは、ゲイがほとんどだった。
私は、ある20代の男の子を担当し、研修した。
もうその子は発病していて、症状は、免疫低下で起きる症状・・・ヘルペス、口内炎、風邪、・・・その子は「エイズ脳症」を怖がっていた。
「エイズ脳症」はいわゆる痴呆症状で、だんだん記憶が消えていく・・・そのことに怖がっていたな・・・あの子。
研修は3週間だった。
その間、ずっとエイズの患者さんと関わった。
あるとき、救急患者が運ばれてきて・・・その人は、道端に倒れていたのを見つけられて運ばれて・・・ありとあらゆる検査をしても原因は分からず・・最終的にHIV(+)で原因が分かった。
病室では、いきなりムンテラが始まった。
8年前にさかのぼり、その人の気になる行為を聞いた。
アジアでの旅行で・・・確かに見覚えがあった・・・あの時のあのことが、今になって症状として現れた・・・
奥さんは知らない・・・次の日奥さんに旦那様の病名が告げられ、奥さんもHIVの検査をすすめられた。
二三日奥さんは、病院には来なかった。
外来では、普通に若い男の子が、今日の新聞記事のように、体がだるいと言って感染症外来を受診していた。
そして検査結果で、HIV(+)と伝えられていた。
その若い子は、女の子を買ういう行為をしたわけでなく、たまたま付き合った普通の女の子との性交での感染だった。
そんな患者さんが毎日何人もやってきた。
16年前、私は新聞記事と同じような患者さんと出会った・・・
そのことを踏まえ、レポートし、看護マニュアルを作成したが・・・
その研修から1年後、看護職を退いた。
薬の開発で、死ぬ病気から、発病を遅らせ、ウイルスに感染してもそのままの生活を維持できるようになった。
しかし16年たってもまだエイズは隠された疾患だということをこの記事で感じる。
感染は何処まで広がっているんだろう。
私が若かった頃の話が、いまや息子達が経験する時代へと移り行く。あれから16年_f0215179_22365715.jpg
16年前にいろいろと考えたことが、看護職を退くと遠い話となり、その後すぐに結婚した私にはエイズは無縁の話になった。
しかし感染は、無くなっていない・・・広がっている。
知らないまま、知らず知らずに性交渉で感染した・・・そんな話が隠れたところではある。
これからの息子達へ、私の経験を伝える時期が来たんだとつくづく感じた。
by polepole-yururin | 2011-11-29 21:04 | 私のこと