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ゆるりんのポレポレ日記 yururinp.exblog.jp

つれづれなるままに~日頃出会うこと、思うことを綴っています。


by polepole-yururin

私はここにいます~

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庭に出てバラの手入れをしていると、ふと目に留まった、名も知らない野花。
たぶん普段なら雑草だといって取りのぞいてしまっていただろう~。
黄色い小さな花が、勢いあるバラの影に隠れてひっそりと咲いていた。
小さな可憐な花に、このうえない存在感を感じた。
ここに私はいますよ~と。

ちょっと前に私はおばあちゃんを膵臓癌で亡くした。
大好きなおばあちゃんで、就職してからも、結婚してからもおばあちゃんに会いたくて時間を作っては、会いに帰っていたものだ。
そんなおばあちゃんを見舞いに行った時のこと。
二時間かけておばあちゃんのいる病院にたどり着くやいなや、その日のおばあちゃんは何かおかしい。
目がさばの死んだ目のようになっていて、言葉はちゃんと返してくれるのだけど、意識がおばあちゃんの中にない感じ。
「おばあちゃん、おばあちゃん、どうしたん?ここにいて!元気なん?しんどいの?おばあちゃん!」
おばあちゃんは「うんうん」とはうなずいてくれていたが、違う、いつもと違う。
脈、瞳孔の状態、自分の医療の知識を出しておばあちゃんの変化を即座に観察する。
異変に怖くなって看護師を呼んだ。
「おかしい、何かおかしい」と看護師に訴えるが、看護師は「大丈夫ですよ〜。」と一言言って出て行ってしまった。
他の病院ではどうすることもできず、おばあちゃんを見守るしかなかった。
おばあちゃんには、告知していなかったので、不安をおばあちゃんには見せたくなかった。
唇をかみ締め、一生懸命平常心を保とうとした。
しかし涙があふれてきた・・・
涙を止めることが出来なかった・・・
おばあちゃんがあまりにも知らないところへ行ってしまったようで、怖くってこの場にいることができず、「おばあちゃんまた来るからしっかりしてや〜。」とこの一言を言うのが精一杯で、逃げるように帰った。
おばあちゃんは「うん・・また来てや~○○ちゃん」と言った。

そしておばあちゃんは次の日亡くなってしまった。

話によると、その後に測った血糖値が1000を越えていて、膵臓が機能しなくなり、高血糖で意識がおかしくなっていた・・・。
自分が勤務していた病院だったら・・・と。
その後おばあちゃんの遺品の中に日記を見つけた。
日記の最後の日は、私がおばあちゃんと会った最後の日。
「○○ちゃんは泣いていた。泣いて逃げるように帰っていった。何で泣いているの?私はもうだめなのか?生きたい。生きたい・・・・」と殴り書きのように(いつもはたいへんきれいな字を書くおばあちゃんなのだのだけれど)きたない字で書き記していた。
どうあの意識の状態で、いつこの日記を書いたのだろう・・・

元気な人から見て、意識がもうないと思える人、例えば植物状態、脳障害など。
何を言っても返事がない状態を、人は何もわかっていないと判断して、ことを淡々と運ばせてしまう。
でも人は最後の最後まで意識はここにある。
たとえ肉体は反応しなくても、今のわたし達以上に過度に反応している・・・意識は。
ここにいる~。
私はここにいる~。
「意識はここにあり・・・私はここにいます」これがおばあちゃんの残してくれた最後のメッセージ。

黄色い小さな野花も、きっと何か言っている・・・
私もちゃんとここに生きている~と。
by polepole-yururin | 2010-11-01 10:16 | 私のこと